BREWERY
第二醸造所〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉
ゼロ・ウェイストの取り組みを起点とするビール造り
2015年の立ち上げ以来、〈RISE & WIN Brewing Co.〉は上勝町が推進する「ゼロ・ウェイスト」を取り入れたビールづくりを続けてきました。上勝町特産の柑橘「柚香(ゆこう)」の廃棄対象になる果皮を利用した「カミカツホワイト」、規格外品の鳴門金時芋を使用した「カミカツスタウト」などがサステナブルなビールの代表です。
さらに私たちは2022年より、醸造時の廃棄物であるモルトかすや廃液を肥料とし、ふたたび麦を育て、そこから新たにビールを造るというサーキュレーション型のビールづくりに挑む「サステナ・ブルワリー」への第一歩を踏み出しました。



誰もが楽しめるビールを目指して
ブルワリーにはクラフトビールの本場ポートランドのステンレス製ビール醸造器メーカー「ポートランド ケトル ワークス」にオーダーしたタンク9基並んでおり、年間最大110キロリットルのビールが醸造できます。まずなにより、クラフトビールそのもので人を楽しく幸せに、町民のみなさんの誇りとなるものにしたい。そんな願いを叶えるために多種多様なスタイルのクラフトビール造りに力を入れ、スタンダードフレーバー5種に加え、様々なシーンで楽しめるように限定フレーバーやコラボレーション企画ビールなどの特別なビールを多数作っています。
私たちが目指すのは、食事や生活のシーンに合わせて楽しめる飲みやすいビールです。クラフトビールに詳しい人はもちろん、詳しくない人にも風味の違いがわかる味わいとしたい。「ビール=苦い・飲みにくい」という常識を覆す誰もが楽しめるビール造りを目指しています。

第二工場の入り口には、ワインやウィスキーなどの洋酒の古樽に詰めた木樽熟成ビールを貯蔵する部屋「オーナーズ・バレルルーム」があります。長い時間をかけ熟成されたバレルエイジドビールは、独特の風味から数多くのリピーターがいます。

アセンブルを起用したインディゴの塔
第二醸造所〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉は、石垣の上に建てられたかつての製材所跡地を再生して生まれました。既存の建物に隣接する青い塔は、醸造所に併設される「インディゴタワー・テイスティングサロン」。徳島の伝統的な染料である藍で染めた杉板に覆われた塔で、オーダーメイドビールなどの依頼主がブルワーといろいろなビールをテイスティングしながら好みの味を決めることができます。
設計を手がけたのはロンドンの若き建築家集団、アセンブル。彼らは2015年、イギリスの権威ある現代アートの登竜門「ターナー賞」を建築家として初めて受賞したことで知られます。



彼らはプロジェクトにおいて、地域住民とともに建築やプロジェクトを実現する手法を採用します。初めての海外プロジェクトとなった〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉でも、メンバー3名が来日し、上勝町におけるゼロ・ウェイストの取り組み、徳島県内各所の伝統的な技術をリサーチしたうえで上勝の人々とのワークショップを行い、作り上げられました。
美味しいビールは環境のために
私たちが目指すのは、もちろん美味しいビール造りです。しかしただ美味しいビールを造るのでは、上勝町のブルワリーとして使命を果たすことができません。ビールが環境の保護に繋がるものであるという社会的なミッションを掲げています。今後も環境に対するアクションを常に考えていく必要があります。
試行錯誤の時を経て、近年はより幅広い取り組みにも挑めるようになりました。志をともにする企業とのコラボレーションやドネーションを目的したビール造り、豊作によって在庫が過剰になってしまった農作物を使ったビールなど、社会的意義をもったビールも数多く製造しています。今後ますます、こうしたビールを通じて上勝町から世界に働きかけるブルワリーを目指していきます。
